2017年2月8日水曜日

安倍政権による原発事故被災者への非道の数々

 LITERAが「安倍政権による原発事故被災者への非道」をまとめた記事を載せました。
 非道・理不尽と言えば、既に180人にも達した福島県児童の甲状腺がん患者が、いまだに放射線が原因ではないとしていることです。チェルノブイリでは無条件に認められた事実が何故日本では認められないのでしょうか。
 日本政府の虚偽と隠蔽の姿勢が端的に現れた「巨大なゴマカシ」です。
 
 「年間20ミリシーベルト以下であれば健康に悪影響はない」としてそれ以上の地域を「避難指定区域」として、それ以下の地域から自主避難した人たちを「勝手に避難した人たち(田中俊一規制委員長)」として住宅補助費の支給しかしない「非道」も長く歴史に残ることでしょう。
 福島原発事故の25年前に起きたチェルノブイリ事故でも、年間1ミリシーベルト以下であれば居住可能、1~5ミリシーベルトであれば留まるか避難するかは当人が判断し、避難する場合は国が費用を負担する、5ミリシーベルト以上であれば無条件で保障を得て避難するといういわゆる「避難の権利(=チェルノブイリ法)」を事故の5年後には確立しています。
 そんなまたとない見本があるにもかかわらず、日本はその基準を20倍も上回る史上最悪の基準を設けました。まさに冷酷非道を絵に描いたようなものです。
 
 これらはすべて国民の健康よりも慰謝料などの費用を惜しんだためとしか思えません。そしてオリンピックの誘致が決まってからはさらに、事故を出来るだけ小さく見せ収束していることを装うという発想も加わっています。まことに本末転倒の話です。
 住むことも出来ないところに帰還するようにと、「避難指示」を解除するとともに「慰謝料」も打ち切るという仕打ちが何よりも明瞭にそのことを語っています。月々の生活費などにあたるものを「慰謝料」と呼んでいる意味は、それを打ち切ればその後は一切賠償などはしないということです。
 
 そしてついに反原発運動への"弾圧"を始めました。今年1月18日、反原発活動に参加した埼玉県加須市の職員など3人が1年4ヶ月余り前に楢葉町の視察に訪れた際にレンタカー代を割り勘にしたことが道路運送法違反に当たるとして逮捕されました。
 一体どういう罪なのか理解に苦しみますが、反原発を訴える人々への弾圧と考えれば納得が行きます実に冷酷非道なことをするものです。
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安倍政権の冷酷すぎる原発被災者切り捨て政策が着々と進行! 
強制送還でさらなる被曝の危険にさらし、賠償打ち切り
LITERA 2017年2月7日
 衝撃の数字だ。福島第一原発2号機の格納容器の内部で、空間放射線量が推定で最大毎時530シーベルトに達していたことが判明した。これは事故後最大の数値で、数十秒で死亡する高レベルのものだ。それだけでない。原子炉圧力容器直下の作業用足場に1メートル四方もの大きな穴も見つかった。これは核燃料(燃料デブリ)が落下して足場を溶かしたものと見られ、周辺には核燃料が広範囲に散らばり堆積している可能性もあるという。
 今回のことで、福島原発は収束どころか"アンダーコントロール"など夢のまた夢、廃炉さえままならない困難な状況だということが改めて浮き彫りになったが、そんななか、着々と進められているのが、原発事故で避難を余儀なくされた人々の"帰還"だ
 すでに政府は今年4月1日までに、浪江町、富岡町、飯舘村の帰還困難区域を除く全域と、川俣町山木屋地区の避難指示を解除する方針を示している。さらに帰還困難区域に関しても、5年を目処にその解除を目指す「特定復興拠点」を設け、同拠点の除染費用として2017年度予算から約300億円を計上する見通しだ。
 だが、こうした地域は本当に人々が安心して暮らせる場所なのか。
 
 今回のことで、福島原発内に毎時530シーベルトというとてつもない空間があることが判明したが、しかし、それは氷山の一角で、ほかにも原発内には大量の燃料が処理されないまま残っているとみられているのだ。そのため各地で行われた説明会では、放射線量や土壌汚染、また廃炉が進まない原発で再び事故が起きる可能性などの質問が相次ぎ、1月31日に行われた浪江町の住民たちに向けた説明会では、同町にある大柿ダムの底の汚泥が「1キロ当たり20万ベクレル」にのぼることも判明している。
 
 また健康被害も日を追うごとに深刻化している。福島第1原発事故の影響を調べる福島県の「県民健康調査」検討委員会による昨年12月の報告では、福島県の小児甲状腺がん及び疑いの子どもたちは実に180人以上もの膨大な人数となっている。こうした発表が出るたびに、甲状腺がんの子どもたちが増え続けており、それは福島県外の関東圏にまで及んでいる。しかし政府や有識者たちは、そろって「被曝の影響は考えにくい」などと非科学的態度を崩してはいないし、子どもたちの甲状腺検査を縮小しようという異常な事態さえ進んでいるのだ。
 
 そもそも事故後政府は、原発事故の被害をできるだけ小さく見せ、さらには復興をアピールすることに躍起になってきた。航空機モニタリングで測っていた「場の線量」よりガラスバッジなど個人被曝モニタによって得られる「個人線量」を重視したり、子ども被災者生活支援法を骨抜きにする──。
 そして、決定されたのが、年間線量が20ミリシーベルト以下になった地域から避難指示を解除するという方針だった。福島以外の年間の被曝限度が1ミリシーベルトであることを考えればその実に20倍もの数値を許容しろというのだ。しかもこの数値は事故直後、内閣参与だった小佐古敏荘東京大学教授が「この数値(年間20ミリシーベルト)を乳児、幼児、小学生に求めることは、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と涙ながらに訴えて、参与を辞任するきっかけとなった数値でもある。
 だが、こうした懸念は、今、すべて無視されようとしている。安倍政権は、住民のさらなる被曝の危険性を無視し、除染さえ進んでいない土地に住民を"強制送還"すべく、今年春までに帰還困難区域以外のすべての避難指示解除を強行しようとしているのだ。 
 
 加えて問題なのは、避難指示解除に伴う賠償金の縮小、打ち切りだ。原発事故で被害を受けた商工業者への賠償は2016年度で打ち切り、また住民一人あたりの慰謝料も2018年3月までに打ち切られる予定。さらに避難指示が解除されれば、そこに住まなくても土地や建物の固定資産税が発生する。
 子どもの被爆を恐れ、また仕事がないなど様々な事情で、"帰還"できなくても、賠償金は打ち切られ、その後の保障はなにもない。まさに"被災者切り捨て"としか言いようがないものだが、同時にこうした"強制避難者"だけでなく、"自主避難"の支援打ち切りも断行されようとしている。今年3月、避難区域外から自主避難した人々に対しておこなわれてきた住宅の無償提供が打ち切られる見通しだが、その対象は1万世帯にも及ぶ。
 
 このように原発事故で大きな被害と損害を被った人々を次々と切り捨てる政策を連発する安倍政権だが、一方で行われているのが政府の東電への手厚いまでの"支援"だ。東電は1月26日、政府に追加支援約7078億円を申請、これで東電への支援が合計8兆円を突破する見通しとなった。もちろん、こうした金は私たちが支払う税金から捻出されるものだ。追加支援の理由の中には"被害者への賠償"も含まれるとされるが、しかし政府の"棄民"政策のもと、住民への賠償は大幅に縮小されることから、そのほとんどが廃炉費用に投入されるであろうことは明白だ。
 未だ膨大な放射能をまき散らし、国民の生命と財産を危機にさらし、廃炉には巨額の資金と時間がかかる。だが、こうした事態にも関わらず、安倍政権の原発再稼働、原発輸出の方針は現在でも揺るぎない。
 
 それどころか、さらに懸念すべき事態も起こっている。それが反原発運動への"弾圧"だ。今年1月18日反原発活動に参加した埼玉県加須市の職員など3人が逮捕された。その容疑は、避難指示が解除された楢葉町の視察に訪れた際、レンタカー代を割り勘にしたことが道路運送法違反、つまり白タク営業に当たるというもの。しかもこのツアーが実施されたのは一昨年の9月5日のことだ。これは明らかに微罪での不法逮捕であり、反原発を訴える人々への弾圧だろう。
 
 これが、苛烈な事故を起こした東電と日本政府の、開き直りとも思えるあまりにふざけた態度なのだ。今回、毎時530シーベルトもの放射線量、そしてデブリ穴の存在で、今後の廃炉作業は、さらに困難を伴うことが予想される。こうした悲惨な事態を二度と起こさないためには、何が必要かはもう明白だろう。すべての原発の停止と廃炉、それしか解決策などありえない。 (伊勢崎馨)