2017年4月30日日曜日

「原発は社会に対立を持ち込む」と島薗 上智大教授 宇都宮で講演

 上智大の島薗進教授(宗教学)が宇都宮市の栃木県弁護士会館で講演し「原発は社会に対立を持ち込む。原子力の平和利用などというが、そもそも軍事的なことから始まっている科学技術。将来世代にも大きな負荷をかける。止めるべきだ」と主張しました。
 
 採算性のない原発に経済的メリットがあるかの如く装って再稼働に固執するのは、使用済み核燃料を再処理することで核兵器の原料になるプルトニウムを得るためとしか考えられません。
 そもそも使用済みの核燃料を万年単位の地層埋設にすることほど、後世の世代に無用な負担を掛けるものはありません。原子力ムラという利益目的の集団に牛耳られて物事の根本を誤るべきではありません。
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「原発は社会に対立を持ち込む」 宇都宮 島薗・上智大教授が講演
東京新聞 2017年4月29日
「なぜ原発から脱却しなければならないか」をテーマに、上智大の島薗(しまぞの)進教授(宗教学)が、宇都宮市の県弁護士会館で講演した。
 
 市民団体「原発いらない栃木の会」が主催。島薗教授は「原発は社会に対立を持ち込む。原子力の平和利用などというが、そもそも軍事的なことから始まっている科学技術。将来世代にも大きな負荷をかける。止めるべきだ」と主張した。
 
 東京電力福島第一原発の事故以降、日本社会の変化についても、持論を交えて指摘。「原発事故で科学への信用が崩れ、『力』や『量』による支配が理屈を壊し、法治をも壊しはじめている」と強調し、「支持率が50%を超えているから正しいなどという社会になりつつある。科学技術や安全をめぐる議論にも(同じ傾向が)見られる」と警鐘を鳴らした。 (北浜修)

西郷村に4万4千KWのメガソーラ/大熊町に東京パワーテク新事業所

 27日、福島県西郷村のゴルフ場跡地(約50ヘクタール)で大規模太陽光発電所メガソーラー出力約4万4kw)の起工式が行われました。
 再生可能エネルギー開発のジャパン・リニューアブル・エナジーと一般財団法人ふくしま未来研究会、信夫山福島電力(同)が出席しました。
 
 それとは別に、27日、福島県大熊町大川原地区東電グループで福島原発の廃炉作業に当たる東京パワーテクノロジーの新事業所が完成し、竣工式が行われました。従業員は協力企業の社員を含め約1000で、大熊町が復興拠点に位置付ける大川原地区への進出企業では最大規模になります
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<メガソーラー> 福島・西郷で20年発電予定
河北新報 2017年4月28日   
 再生可能エネルギー開発のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、東京)と一般財団法人ふくしま未来研究会(福島市)、信夫山福島電力(同)は27日、福島県西郷村で、出力約4万4000キロワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)の起工式を行った。
 建設予定地はゴルフ場跡地約50ヘクタールで、太陽光パネル25万1520枚を設置。年間発電量は4730万キロワット時で、一般家庭約1万3200世帯の消費分を見込む。
 2020年1月の発電開始予定で、発電した電力は全て東北電力に売る。3社出資の合同会社「西の郷(さと)ソーラーパーク」が運営する。
 起工式でJREの竹内一弘社長は「福島の復興に向け(太陽光以外を含め)再生可能エネルギーのさまざまな案件に取り組みたい」と話した。
 3社は昨年9月、福島県内での太陽光や風力など発電所の共同開発で合意。18年度には県南地区で、出力7万キロワットの太陽光発電所建設を予定している。
 
 
東京パワーテクノロジー 大熊に新事業所
河北新報 2017年4月28日
 東京電力グループで福島第1原発の廃炉作業に当たる東京パワーテクノロジー(東京)の新事業所が福島県大熊町大川原地区に完成し、竣工(しゅんこう)式が27日に現地であった。5月8日に業務を始める。
 従業員は協力企業の社員を含め約1000人。原発事故で全町避難が続く町が復興拠点に位置付ける大川原地区への進出企業では最大規模になる。
 建物は鉄骨3階、延べ床面積約4700平方メートル。一時帰宅の町民や町内の労働者が緊急時に逃げ込む避難所を設けた。約200人が3日間過ごせる食料や非常用電源を備える。27日、町と利用に関する協定書を取り交わした。
 同社は原発事故前、第1原発と第2原発構内に構えた事務所で各原発の保守管理に当たり、事故後は第2原発の事務所を拠点に汚染水対策などに携わった。手狭で第1原発まで遠いことから新事業所を開設した。
 大川原地区では昨年9月、東電グループで廃炉関連の東京エネシス(同)が福島総合支社を開所した。

30横浜市教委が被災地視察 原発避難いじめ問題で

<原発避難いじめ>横浜市教委が被災地視察
河北新報 2017年4月28日
 東京電力福島第1原発事故で福島県から横浜市に自主避難した男子生徒がいじめを受けていた問題で、横浜市教委の職員が27日、福島県三春町を訪れ、仮設校舎で学ぶ原発被災地の学校と、放射線に関する情報発信施設「コミュタン福島」を視察した。市教委は7月、福島県内での教員研修を計画している。
 市教委職員9人が、原発事故で三春町に仮設校舎を設けた富岡町の小中学校を訪問。児童の様子を見学し、学校が取り組む放射線教育について説明を受けた。
 コミュタン福島は昨年、県が整備した。一行は空間放射線量の事故後の減衰を一覧できるパネルを操作するなどし、復興に向かう現状への理解を深めた。参加した小林力(つとむ)教育次長は「被災地の思いを横浜の子どもたちに伝え、いじめの再発防止に努める」と話した。
 横浜市では昨年11月、男子生徒が当時の小学校に自主避難した直後に、同級生から名前に「菌」を付けて呼ばれるなどのいじめを受けていたことが発覚。同市は担任だった男性教諭ら6人を処分した。
 市教委によると、原発事故で福島県から横浜市に避難している小中学生は昨年12月時点で147人。

2017年4月29日土曜日

甲状腺がん患者(事故時児童)の全数を報告すべきと家族会が要望

 福島県児童(原発事故時に18歳未満)甲状腺検査の専門家による評価部会は、これまで甲状腺がんの患者は延べで184人に達したと報告していますが、それは2巡目までの一斉検査で甲状腺がんと確定した児童の集計であり、それ以外の、例えば一斉検査以外の経過観察中に発病した分は除外されているということです。
 しかしこれまでそうした説明は行われていないので、殆どの人は評価部会が発表した数字が甲状腺がん患者の全数と理解した筈です。
 放射線との関係を見るためには、少な目であるが確実な数字ということよりも、実数の100%ではないが出来るだけそれに近い数字を知ることの方が大事な筈です。
 患者や家族などでつくる団体が「検査の信頼を大きく損ねかねない」として、一斉検査以外で患者と確認された数字を含めるべきとしてその公表を求める要望書を県などに提出しました。
 実数に近い方の数字を公表するの当然の話です。
     (関係記事)
3月31日  福島県児童の甲状腺がん患者数は185人よりも多い +
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原発事故当時4歳児の甲状腺がん報告されず 家族会が要望書
NHK NEWS WEB 2017年4月28日
原発事故当時4歳の子どもが、福島県が行っている甲状腺検査のあと、がんと診断されたのに専門家の委員会に報告されていなかった問題で、患者や家族などでつくる団体が「検査の信頼を大きく損ねかねない」として、同様のケースの公表を求める要望書を県などに提出したことがわかりました。
 
この問題は、原発事故当時18歳以下だった子ども38万人を対象に福島県が行っている甲状腺検査のあとで、これまでの最年少となる当時4歳の子どもが福島県立医科大学でがんと診断されたのに、健康への影響を検証する専門家の委員会に報告されていなかったものです。
福島県や県立医科大学は「検査のあとの経過観察の中でがんが判明した場合などは、網羅的な把握が困難で報告していない」と説明しています。
これについて検査でがんと診断された患者や家族などでつくる「311甲状腺がん家族の会」が28日、経過観察の中で判明したがんも公表するよう求める要望書を県などに提出したことがわかりました。
要望書で「家族の会」は「放射線被ばくの影響を評価するには、甲状腺がんの発生状況などの長期の見守りが必要で、患者数を正確に把握する必要がある」と指摘しています。
そのうえで、今回の件について「検査の信頼を大きく損ねかねず大変残念」だとして、経過観察の中でがんが判明した人数を明らかにすることや、同様のケースを今後、必ず公表する仕組みをつくることなどを求めています。
福島県の県民健康調査課は、「ご意見の1つとして参考にさせていただきながら専門家の委員会で議論したい」と話しています。
 
患者の父親「情報隠さず正確に発表を」
要望書を提出した「家族の会」のメンバーで、福島県の検査で甲状腺がんと診断された当時10代だった娘を持つ父親は「娘は甲状腺がんになってから体調がすぐれず、大学をやめることになり、将来の夢を諦めざるをえなくなった。今も『社会から取り残されている』と落ち込んでいて、引きこもりがちになっている。今回の問題は、『本当はもっと多くの患者がいるのではないか』と思わせるもので、検査の信頼を損ねかねない。娘を含め、なぜ子どもたちががんになったのかを明らかにするためにも、情報を隠すようなことをせず、きちんと正確に発表してほしいです」と話していました。

29- 原発からの請求書 読者発編(下)(東京新聞)

  3月に9回にわたり連載した東京新聞の「原発からの請求書」の記事に対して、約100件の疑問や意見が寄せられたということです。
 東京新聞が読者の疑問などをもとに追加調査した「読者発編」3回目で、賠償費用などが上乗せされる送電線の使用料「託送料金」の仕組みが解説されています。
 原記事には理解しやすい図解が載っています。URLをクリックすればジャンプします。
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<原発からの請求書 読者発編>(下)
   「託送料」監視なき値上げ
東京新聞 2017年4月28日
 連載では、福島第一原発事故の賠償費用などが送電線の使用料「託送料金」に上乗せされることに読者から批判が相次ぎました。送電線の使用料である託送料金を上げることは普通の商取引なら「特定の民間工場が失火で燃えてしまったので、全国の高速道路料金を引き上げて立て直す」というような話。消費者の目にも理不尽な話が強引に進められていると映っているようです。
 
 かつて電力会社は、発電も送電も小売りも地域独占で一体経営していました。関東の消費者は東京電力が発電した電気を東電から買うしかありませんでした。
 昨年四月の「電力自由化」で、発電、送電、小売りは別々のサービスに分けられ、家庭への小売りにさまざまな企業が参入できるようになりました。発電を手掛ける企業も増えています。私たちは太陽光や風力など自然エネルギーに強みを持つ発電会社の電気を、携帯通信会社が母体の小売会社を通して買うこともできるようになりました。
 しかし送電線だけは、何本も同じように整備するのは非効率的ですから、これまで通り大手電力会社が地域独占で運営しています。そして送電線の使用料が託送料と呼ばれる料金です。これを東電が自由に決められるなら、もうけを増やすため高く設定するかもしれません。みんなの公共の財産がそんなふうに使われてはいけないので、東電が算出した数字を、経済産業省がチェックします。こうして決まった料金は一キロワット時当たり八・五七円(消費税込みでは九・二六円)。私たちはどの小売会社と契約していても等しく負担しています。月二百六十キロワット時使う東電モデル世帯では電気料金約六千六百円のうち、託送料は二千四百円と全体の36%も占める計算です。
 
 今回、この料金が上がることになってしまったのです。二〇二〇年度から福島第一原発事故の被災者への賠償費用の一部、二・四兆円が転嫁されます。先のモデル世帯では月一八・二円の上乗せ。沖縄を除く全国で、です。送電線を通るすべての電力に影響するので、自然エネルギー主体の電力会社から買っている人も料金に上乗せされます。
 これはまるで全国の高速道路料金を一斉に引き上げて、ある工場の事故の後始末や再建の費用を工面するようなものです。道路は共通インフラなので、輸送される農産品、工業製品などにも広く上乗せされ、全国全ての消費者や企業が負担させられてしまいます。
 託送料は国会のチェックが必要な税金と異なり、経産省の認可だけで上げられるので、同省にとって都合のいい制度。同省が原発を推進する中、すでに核燃料サイクルや最終処分場建設などさまざまな原発費用が上乗せされています。今後も原発で追加費用が必要になれば、本来関係のない「道路料金」が値上げされる恐れがあります。 (吉田通夫)

2017年4月28日金曜日

原発再稼働コストに懸念 将来の規制も考慮を (日刊工業新聞)

 政府は原発の再稼働を強行しようとしていますが、日刊工業新聞がそれは安全性ばかりでなくコスト面でも問題があるとする社説を出しました。
 特に福島原発の廃炉に関しては、この先どのような問題が起きるかも分からない段階で、政府は甘くて根拠のない見積もり(約22兆円)を提示していますが、あるシンクタンクは、適正に見積もれば50兆円~70兆円になると発表しています
※ 3月16日  原発廃炉に70兆円必要 政府試算の3倍 保守系調査機関が算出
 
 将来何が起きてもすべて国民が負担するのだから・・・といういい加減な考え方でその場その場を取り繕う考え方は許されません。
 政府はこの社説をキチンと受け止めるべきです。
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社説原発再稼働(2)コストに懸念、将来の規制も考慮を 
日刊工業新聞 2017年4月27日
原子力発電所は安全性ばかりでなく、コスト面でも是非を議論しなければならない時代になっている。
東日本大震災による東京電力福島第一原発の事故以降、安全規制の強化などで建設コストが上昇している。詳細は不明ながら、フィンランドでは建設費が予定の3倍になり、1兆円を超したとも報じられている。
こうした建設費の高騰にも増して懸念されるのは、使用済み核燃料の処理処分と規制強化によるコストだ。
高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉が決まった。使用済み核燃料を再処理したウランとプルトニウムを燃料にし、消費した以上の燃料を生み出す“夢の原子炉”といわれたが、事故が相次ぎ、1兆円超の事業費をつぎ込みながら、わずかしか運転できない“悪夢”で終わった。
青森県六ケ所村の再処理工場の存続も困難を抱えている。工場は完成の延期を繰り返し、建設費は予定の3倍近い2兆円超に膨らんだ。仮に完成しても、行き場のないプルトニウムを余剰に保管することは国際社会が許さない。結局、使用済み燃料は直接処分しかないようだ。だが、その処分場の選定も当初計画から大幅に遅れている。
 
電力会社が既存原発を再稼働したいと考えるのは当然だ。しかし将来を見通すとコストが重荷になる。廃棄物を何万年も管理するコストは、まだ試算できていない。電気料金にせよ税金にせよ、最終的には国民負担が避けられない。
今後の原発規制の強化にも備えが必要だ。追加投資で東日本大震災後の新基準に適合させた電力各社は、将来の廃炉までは採算の範囲内に収まると見積もっているのかもしれない。
だが東電の廃炉作業の進展によって事故原因の究明が進めば、新たな規制強化もあり得る。原発の新基準は既設原発にも適用されるバックフィット制度であり、基準改定のたびに再度審査を受けることになる。
それでも採算は大丈夫か。将来の追加支出の採算ラインについても、何らかのシミュレーションをしておくべきであろう。

柏崎刈羽原発 再稼働時期 東電は特定しない方針

 東京電力は来月取りまとめる新たな事業計画で、柏崎刈羽原発再稼働の時期を特定せず、6号機と7号機の再稼働が、平成31年度の場合、平成32年度の場合、平成33年度の場合と、最大3つの想定を置く方向で調整しています。米山知事が原発事故の原因などの検証が終わらないかぎり再稼働を認めないなど地元に慎重な意見が多いためです。
 
 福島原発の廃炉や賠償などの費用が最低でも21兆円余りに上る見通しのなか、東電は柏崎刈羽原発の再稼働で費用を捻出したい考えですが、原発の事故で生じた損害を原発を再稼働して充てるというのはおかしな話で、絶対に事故を起こさないという保障が得られなければ成り立たない話であるのは当然のことです。
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東電 柏崎刈羽原発 再稼働時期特定しない方針
NHK NEWS WEB 2017年4月28日
地元に慎重な意見が多い新潟県の柏崎刈羽原子力発電所の再稼働について、東京電力は来月取りまとめる新たな事業計画で、再稼働の時期を特定しない方針を固めました。
 
東京電力が来月取りまとめる今後10年間の新たな事業計画には収支の見通しが盛り込まれることになっていて、1基当たりで500億円程度の収益改善が見込まれる柏崎刈羽原発の再稼働の時期が焦点になっていました。
関係者によりますと、東京電力は新たな計画では再稼働の時期を特定しない方針を固めました。このため、計画では原子力規制委員会の審査を受けている6号機と7号機の再稼働が、再来年度・平成31年度の場合、平成32年度の場合、そして平成33年度の場合と、最大3つの想定を置く方向で調整しています。
 
3年前にまとめた前の事業計画では、2基の再稼働を「平成26年7月」と特定していましたが、新潟県の米山知事が原発事故の原因などの検証が終わらないかぎり再稼働を認めない姿勢で、地元の同意を得られる見通しが立たない中で、再稼働の時期を特定するのは難しいと判断したものと見られます。
福島第一原発の廃炉や賠償などの費用は21兆円余りに上る見通しです。東京電力は、柏崎刈羽原発の再稼働で費用を捻出したい考えですが、地元の理解を得られるかが経営上の最大の課題となっています。

28- 津波対策は必要と考えず 元保安院職員が証言

 福島原発事故で神奈川県内に避難した175人が国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟で、25日、事故前に同原発の耐震審査をしていた保安院の安全審査官が証人として横浜地裁出廷しました。
 調査官は09年に869年の貞観地震と同規模の地震が起きた場合津波の高さの試算を東電に指示し8m台の回答を得たため、「具体的な対応を検討した方が良い」といったものの地震発生の切迫性もなかったとして「ただちに対応すべきだと考えていなかった」と述べました。
 そして「震災前は知見が確立されて初めて対策をするという考えだったが、この考えでは事故は防げない」と当時の規制の考え方の問題を認めました。
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「津波対策は必要と考えず」 原発訴訟口頭弁論で元保安院職員が証言
東京新聞 2017年4月26日
 東京電力福島第一原発事故で県内に避難した六十一世帯百七十五人が国と東電に約四十億七千万円の損害賠償を求めた集団訴訟の口頭弁論が二十五日、横浜地裁であった。事故前に同原発の耐震審査をしていた国の職員が証人として出廷し「津波についての知見は確立しておらず、対策がただちに必要とは考えていなかった」と証言した。
 
 証言したのは、事故時に原子力規制を担っていた旧原子力安全・保安院で、二〇〇六~一二年まで安全審査官だった名倉繁樹・原子力規制庁安全管理調査官。
 名倉氏は〇九年八月、東北地方に大津波をもたらした八六九年の貞観(じょうがん)地震と同規模の地震が起きた場合、原発に達する津波の高さの試算を東電に指示。
 翌九月に八メートル台と聞き、「原発がある十メートルの地盤に達しないが、具体的な対応を検討した方がよいと言った」と証言した。ただ、当時は貞観地震の知見は確立されておらず、地震発生の切迫性もなかったとして「ただちに対応すべきだと考えていなかった」とした。
 一方で、「震災前は知見が確立されて初めて対策をするという考えだったが、この考えでは事故は防げない」と当時の規制の考え方の問題を認めた。事故後はより厳しい考え方に変わったと述べると、原告側代理人に「当時もできていれば良かったか」と尋ねられ、「はい」と答えた。
 
 この訴訟で原告側は、貞観地震を巡る東電の試算により遅くとも一〇年には巨大津波の予見可能性はあったと主張。これに対し、国や東電は「津波の高さを予測するモデルが確立しておらず、予見可能性はなかった」と反論している。
 閉廷後、「福島原発かながわ訴訟原告団」の村田弘団長は「切迫性が証明されない限り何も対策を求めないなら、いつまでたっても対策はできない。国の規制がいかに実体のないものだったかを証言していた」と憤りをあらわにした。 (加藤益丈)

2017年4月27日木曜日

高速実験炉「常陽」審査保留に 「ひどい申請内容」と田中委員長

 廃炉が決まった「もんじゅ」に代わ実験炉「常陽」の運転再開が予定されていますが、審査申請を受けた規制委は様々な問題があるとして審査を保留にしました。
 規制委の田中委員長は26日の定例会見で、「本当に福島の事故を反省したうえで申請しているのかと言いたいほど、ひどい内容だった」と、運転の主体となる原子力機構の姿勢を批判しました。
 「もんじゅ」でもこれまで対応の不十分さが度々指摘されてきたのに、一向に改まっていないのは不可解なことです。
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高速実験炉「常陽」審査保留 規制委委員長「ひどい申請内容」
NHK NEWS WEB 2017年4月26日
廃炉が決まった「もんじゅ」に代わって高速炉用の実験炉として国が活用するとしている茨城県にある「常陽」について、原子力規制委員会は、事故の想定が甘いなど運転再開の前提となる審査の申請内容が不十分だとして、審査をいったん保留にしました。田中委員長は定例会見で、「ひどい申請内容だ」などと、事業者の姿勢を厳しく批判しました。
 
常陽は政府が、もんじゅに代わって次の高速炉開発に活用する方針を示している実験炉で、事業者の日本原子力研究開発機構は先月、運転再開に向けた審査を申請し、平成33年度までの運転再開を目指すとしています。
 
これについて、25日に開かれた国の審査の初会合で、原子力機構の申請内容が問題視されました。問題となったのは、原子炉の熱出力を、これまでの14万キロワットから10万キロワットに変更した点で、原子力機構は、変更によって、避難計画を策定する範囲が30キロ圏内から5キロ圏内になり、地元自治体との調整にかかる時間も少なくなることから、早期に再開できると考えたと説明しました。
 
また、変更にあたって設備は改良せず、運用上10万キロワットで使用すると説明しましたが、規制委員会側は、「実際の設備と熱出力は合わせるべきで、事故の想定も甘い」などとして、補正した申請が出るまで審査を保留する異例の対応を決めました。
 
これについて、規制委員会の田中委員長は、26日の定例会見で、「審査の保留は当然だ。本当に福島の事故を反省したうえで申請しているのかと言いたいほど、ひどい内容だった。審査できないということは、運転できないということだ」と、原子力機構の姿勢を厳しく批判しました。
 
審査の保留について、原子力機構は「このような指摘に至ったことを真摯(しんし)に受け止め、適切に対応します」と話しています。

27- 浪江町の放射線量 山側ほど高く 高濃度の汚染土も各所に

 3月末に概ね避難指示が解除された福島県浪江町で、東京新聞の原発取材班放射線量の状況を調べました。
 以下に記事を転載します。(括弧内の年間線量値は事務局で換算したものです
 原記事には「線量マップ」が載っていますURLをクリックすればジャンプします。 
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本紙が調べた浪江町の放射線量 山側ほど高く、高濃度の汚染土も各所に残る
東京新聞 2017年04月26日
除染に限界あり
 3月末に概ね常磐道より海側地域の避難指示が解除された福島県浪江町で、原発取材班は、放射線量の状況を調べ、マップにまとめた。 
 調査は2月8日と4月13日、200メートルごとに位置情報と線量を自動で記録する線量計を車に取り付けて走る方式で実施した。データをグーグルアースに読み込ませてマップ化した。 
 国道6号や津波が押し寄せた請戸(うけど)地区は、毎時0.2マイクロシーベルト1.75mSv/年未満と東京都内よりやや高い程度の地点が大半を占めていた。JR常磐線浪江駅や町役場の周辺は、それより少し高い0.3マイクロシーベルト2.63mSv/年前後の地点が多かった。国が除染の長期目標にしているのは0.23マイクロシーベルト2.0mSv/年。 
 ただ、山側に近づくにつれて線量は上昇。農地や家屋に近い林も含め除染作業は終盤を迎えていたが、0.5マイクロシーベルト4.38mSv/年前後まで線量は上昇した。 
 調査を続けるうち、農地の水路脇や河川の堤防などで線量が急上昇する地点がいくつかみられた。1.6マイクロシーベルト14.0mSv/年を示した地点の表土を持ち帰って放射性セシウム濃度を調べると、1キログラム当たり約12万ベクレルあった。一般の廃棄物と分けて処分が求められる基準(8000ベクレル)の十五倍。除染で十分に汚染が除去できたか継続的にチェックする必要があることをうかがわせた。(山川剛史、片山夏子) 
 
調査の方法
 車のサイドミラー(地上1メートル)に線量計(エコテスト製ガンマサピエンス)を取り付け、ブルートゥースでリンクした車内のタブレット端末でデータを受信し、200メートルごとに線量と位置情報を自動的に記録した。

2017年4月26日水曜日

今村復興相が「東北差別」で辞任!

 世間を騒がせ続けた今村復興相がついに辞任に追い込まれました。
 これ程不適切な復興相はありませんでしたが、今村氏の感覚は自民党の標準的な感覚でもありました。それがどんなに不適切な言動を重ねてもこれまでは更迭されずに来た理由でした。
 安倍首相もさすがに今度ばかりは限界を超えたと思ったようです。LITERAの記事を紹介します。
 
  (関係記事)
4月9日  「うるさい」「出ていけ」と言われた西中誠一郎氏にインタビュー
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今村復興相が「東北差別」で辞任! 会見で追及したジャーナリストが
見抜いていた被災地切り捨て、上から目線体質
LITERA 2017年4月25日
 今村雅弘復興相が辞任の意向を固めたようだ。当然だろう。今村大臣は夕方、都内ホテルで開かれた自民党二階派のパーティで、東日本大震災の復興に関連して「いろいろお騒がせします」と述べた上で、「まだ東北で、あっちの方だったから良かったですが。首都圏に近かったりすると、ほんと、莫大な甚大になった」と発言したのだ。これは被災地に対する軽視どころか、東北差別、地方切り捨てという言葉の「暴力」というべきものだ。
 しかも、今村復興相のこうした発言はたまたまのものではない。この弱者切り捨てと差別姿勢は、もとからこの大臣の中にあったものなのだ。
 
 それはすでに今月4日の会見で明らかになっていた。この会見で今村復興相は、フリージャーナリスト・西中誠一郎氏の福島原発事故の自主避難者についての質問に「(自主避難は)自己責任」「裁判でも何でもやればいい」と言い放ち、記者がその真意をさらに問うと、「うるさい!」「出て行きなさい!」と暴言を吐いた。
 これは大きな問題になり、今村復興相は結局、会見2日後の6日、「自己責任という言葉づかいはよくなかった。深くおわびする」「(記者に対して)感情的になってしまった」と陳謝したが、今村復興相はけっして反省したわけではなかった。
 
 実際、今村復興相を会見で追及した西中記者も、当サイトのインタビューで、「4日の激怒会見の後、今村大臣は“感情的”だったことを謝罪しましたが、しかし“自己責任”という発言については当初、撤回すらしませんでした。それは本心だからでしょう」と指摘。今村復興相が一貫して、国の責任には頰かぶりをして、被災者に責任を押し付ける発言をしてきたことを暴露していた。
 
今村大臣は“避難者の面倒を見てやる”的な上から目線の発言が多い
 「同様の発言は実は3月14日の記者会見でも出ていたことです。『避難指示を解除するというわけで、皆さん判断してくださいよと言っているわけです』と」
 「今村大臣の少し前の『日曜討論』(NHK、3月12日放送)でも、自主避難者に対して『故郷を捨てるのは簡単だが、戻って、とにかく頑張るんだという気持ちを持ってもらいたい』などと発言していましたからね。大臣の頭の中は、“なんで早く帰らないんだ。なぜ地元の復興のために頑張ってくれないんだ”という思いが先走っていたと思います。実際、そうした気持ちが記者会見でも伝わってきました。ですから、それはおかしいだろうと質問を繰り返したのです」
 
 さらに、今村大臣は4日の問題になった会見から一週間しかたっていない11日の衆院震災復興特別委員会でも「(帰還するかしないか)自分で判断をすることは当然。責任が伴う」と言い放ち、“自主避難者は自己責任”と強調。さらに21日の会見でも、同じ西中記者からの質問に苛立ち、「もういいよ!」と会見を打ち切っている。
 
 しかし、安倍応援団や保守メディアはこのとんでもない大臣をかばい、逆に西中記者を「しつこい記者」「怒らせるための質問」「あいつはフリージャーナリストではなく活動家だ」と攻撃した。
 そして、安倍首相も今村復興相の責任を一切問うことなく、そのまま大臣に留任させてしまった。それが、今回のとんでもない地方差別の暴言につながったのである。
 
 周知のように、今村復興大臣が暴言発言をしたパーティには、当の安倍首相も出席していた。そして挨拶の冒頭、今村復興相の発言に触れ「東北の方々を傷つける極めて不適切な発言があったので、首相としておわびしたい」と述べた。
 この発言が今村復興相の辞任に繋がったと見られるが、そんなことでこの間の責任をごまかせると思ったら、大きな間違いだ。
 
 そもそも、今村復興相の発言はけっして個人的なものではない。自主避難者を「自己責任」と切り捨てる今村大臣の主張は安倍政権の国策そのものなのだ。国の原発政策の被害者であり、なんの落ち度もない自主避難者に対して、安倍政権はいま、そのわずかな支援を打ち切り、新たな安全神話を先導。放射性物質で汚染された土地への帰還を強固に推進しようとしている
 そうした政策が“自主避難は自己責任”という空気を生み出し、各地で被災者差別を生み出しているのだ。
 今村復興相の“暴言”は、安倍政権の本音であり、その被災者切り捨ての復興政策と原発政策を改めさせないかぎり、第二、第三の今村が出てくるだけだということを、われわれは強く認識しておく必要がある。 (編集部)
 
※ 本サイトでは今回の今村復興相辞任のきっかけを作ったフリージャーナリスト・西中誠一郎氏のインタビューを行っている。それも改めてご一読いただきたい。

大飯原発控訴審 地震想定に欠陥と島崎東大教授が証言

 関電大飯原発34号機の運転差止め控訴審の口頭弁論が名古屋高裁金沢支部で24日開かれ、証言台に立った元規制委員長代理の島崎邦彦・東京大名誉教授が、入倉・三宅式」を用いた関電の基準地震動の評価は大飯原発周辺のように震源断層が垂直に近い場所に適用すると地震の規模を過小に見積もる重大な欠陥がある」と述べました
 金沢支部の内藤裁判長は島崎氏を「最も重要な証人」と述べているので、判断に影響を与える可能性があります。
 
 原判決は145福井地裁樋口英明裁判長「大飯原発には1260ガルを超える地震が到来する危険がある。地震対策に欠陥がある」として再稼働の差し止めを命じたものです。
 金沢支部内藤裁判長の勇気ある判断を期待したいものです。
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大飯原発差し止め控訴審 「地震想定に欠陥」
前規制委委員長代理が証言
しんぶん赤旗 2017年4月25日
 関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを求めた訴訟の控訴審の口頭弁論が名古屋高裁金沢支部で24日開かれました。前原子力規制委員会委員長代理の島崎邦彦東京大学名誉教授が証人として立ち、大飯原発で想定される地震の揺れ(基準地震動)の評価に欠陥があると証言し、運転再開すべきでないと主張しました。
 
 島崎氏は、2012年の規制委発足当時から2年間、委員長代理を務め、地震動の想定や津波の想定などの審査を担当。大飯原発の基準地震動は、島崎氏が在職中の審査で了承されました。しかし、退職後、大飯原発などの基準地震動の算定に用いられた関係式を検討し、学会などで「過小評価の可能性」を指摘していました。
 証人尋問で島崎氏は、大飯原発3、4号機の基準地震動評価に関して「まだ必要な審査が行われていない」と述べ、再稼働の前提となる規制委の設置変更許可を出すべきでないとの質問に、「その通り」と答えました。
 
 これまで規制委は、大飯原発で想定されている断層を長めに評価していることから過小評価の問題はないと主張しています。島崎氏はこれに対しても、地震動の算定に用いる関係式を変えれば、大飯原発の基準地震動は大幅に引き上がる可能性があるとして、「質的に違う」と指摘しました。
 さらに、規制委の審査ガイドでは、政府の地震調査研究推進本部策定の評価手法などを用いることが示されています。しかし、大飯原発の基準地震動を規定している断層は過去の地震記録がなく、関電の手法は採用できないと明言しました。
 
 大飯原発3、4号機をめぐっては一審の福井地裁(樋口英明裁判長)が14年5月、関電の地震対策に欠陥があるとして運転の差し止めを求めた住民らが勝訴し、関電が控訴していました。

原発からの請求書 読者発編(中) (東京新聞)

 3月に9回にわたり連載した東京新聞の「原発からの請求書」の記事に対して、約100件の疑問や意見が寄せられたということです。
 東京新聞が読者の疑問などをもとに追加調査した「読者発編」2回目で、今回は1kwH当たりの電気料金中の原発費用分よりも再生エネ賦課金の方が高いのではないかという疑問に対するものです。
 原記事には理解しやすい図解が載っています。URLをクリックすればジャンプします。
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<原発からの請求書 読者発編>(中)
 再エネ賦課金いずれ減る
東京新聞 2017年4月25日 朝刊
 連載企画「原発からの請求書」では検針票に隠れている原発費用を試算しました。読者からは検針票に載っている「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」の方が高いのではないか、との指摘をいただきました。
 
 二〇一六年度の再エネ賦課金は「一キロワット時当たり二・二五円」で、月二百六十キロワット時使う平均的なモデル世帯で年約七千円。一方、本紙が報じた福島第一原発事故の賠償金など原発の後始末の負担合計は年約二千九百円。一見、賦課金が重く見えますが、原発の試算では建設・維持費が算入されていないので、やはり負担の絶対額では原発の方が重くなります
 
 再エネ賦課金は原発事故を受け、再生可能エネルギーを増やそうと一二年に始まりました。日本は化石燃料に代わる電源として原発を国策で推進してきたため再生エネは普及していませんでした。ある会社が太陽光発電所をつくっても建設コストが高く、大手電力は「高い電力はいらない」と買おうとしませんでした。
 このため、大手が高く買い取り、そのまま消費者に転嫁するのを認める仕組みを作りました。転嫁代金が再エネ賦課金です。
 大手による買い取り価格は、発電会社が損しない価格に設定されていますが、発電費が安くなれば下げる仕組みです。例えば一二年度一キロワット時四十円だった太陽光発電の買い取り価格は装置の大量生産で導入費用が下がり、最近は同二十四円まで下がりました。とはいえ再生エネ発電所が増えて買い取り量が膨らむと、賦課金も増えます。モデル世帯の場合、政府は制度発足当初七百円弱だった賦課金は最高九千七百円に増えると試算します。
 ただ、再生エネは発電所ごとに十~二十年の買い取り期間が終わっていくので、いずれ賦課金も減ります。支援がなくても、再生エネがやっていけるようにするのが制度の狙いです。
 
 一方、本紙が示してきた原発費用は、原発の後始末費など発電の周辺費用だけをまとめたものです。
 今回、新たに原発の建設・維持費の負担を東電の財務関係資料から試算したところ、家庭の料金には一キロワット時当たり二・二三円が含まれていました。モデル世帯では賦課金とほぼ同額で六千九百円。発電が止まっていてもこれだけ掛かっているのが分かりました。周辺費用も合わせた原発の負担総額は九千八百円と再エネ賦課金を三千円近く上回ります。さらに核燃サイクル事業などで膨らみ続ける可能性も高いのです。
 
 洋上風力発電など世界では原発の発電コストを下回る発電も現れています。検針票に再エネ賦課金だけを明記するやり方は誤解を招くとの指摘も多く、原発の本当の費用を公開し、国民に判断を求めることが急務です。(吉田通夫)

26- 自主避難者 約8割が県外生活継続

原発事故の自主避難者 8割が県外生活継続 福島県が調査  
日経新聞 2017年4月25日
 東京電力福島第1原子力発電所事故で避難指示区域外から避難している「自主避難者」について福島県は24日、県外にいる8割近くが「4月以降も避難先で生活を継続する」と回答したとの調査を明らかにした。
 
 調査は戸別訪問などを通じて実施し、県による住宅の無償提供が終了した3月末時点の結果をまとめた。住居の確保に関して意向を確認できた県外の4781世帯のうち、4月以降も住む場所が避難先になると答えた世帯は78.2%にのぼった。一方で県内避難の3963世帯では、避難先での生活継続は23.6%で、避難元に帰還するとの回答は66.6%だった。
 
 内堀雅雄知事は同日の記者会見で「仕事に就いたり、子どもが就学したり、避難先の生活が定着したことで、避難継続の選択が多くなったのかなと受け止めている」と指摘。「県としては県内の状況をできるだけ伝え、個々の世帯の判断を尊重しながら丁寧に対応したい」と述べた。

 県内外に自主避難している1万2239世帯でみると、4月以降の住居を確保できたのは98.8%。未確定は119世帯、不在などで接触できず不明となっているのは32世帯となっている。

2017年4月25日火曜日

脱原発首長会議 原発30キロ圏同意法制化を決議

 脱原発を求める全国の市区町村長やその経験者らでつくる「脱原発をめざす首長会議」は23日、東京都内で総会を開き、原発再稼働に半径30キロ圏内の自治体の同意を必要とする法整備を政府に求める決議を採択しました。近く首相官邸と経済産業省に決議書を提出します
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脱原発首長会議が決議 原発30キロ圏同意法制化を
佐賀新聞 2017年04月24日
 脱原発を求める全国の市区町村長やその経験者らでつくる「脱原発をめざす首長会議」は23日、東京都内で総会を開き、原発再稼働に半径30キロ圏内の自治体の同意を必要とする法整備を政府に求める決議を採択した。近く首相官邸と経済産業省に決議書を提出する。
 総会には13都県の20人が出席。終了後、取材に応じた佐藤和雄・元東京都小金井市長は「本年度中にも見直しが見込まれる政府のエネルギー基本計画に、法制化の方針を盛り込んでほしい」と求めた。
 
 決議は、原発再稼働に必要とされる地元同意の対象が立地自治体に限定され、東京電力福島第1原発事故後、避難計画の策定などを求められるようになった半径30キロ圏の自治体や住民の意向が反映されていないと批判。
 九州電力玄海原発3、4号機の再稼働を巡り、佐賀県の山口祥義知事が近く同意の意向を示すとみられている一方、半径30キロ圏の8市町のうち伊万里市や長崎県松浦市など4市が反対している現状について、政府がエネルギー基本計画で掲げる「国民や自治体との信頼関係の構築」とは程遠い状況にあると訴えた。同会議のメンバーは、37都道府県の現職首長と経験者ら計101人。県内からは江里口秀次小城市長が会員。【共同】