2017年5月26日金曜日

大飯原発3・4号炉の設置変更許可に抗議声明

 24日、関電大飯原発3・4号機の規制基準審査の実質的合格を意味する審査書を確定し、3・4号炉設置変更を許可したことを受けて、市民14団体共同で設置変更許可に抗議する声明を発表しました。
 声明では規制委が、前規制委員長代理島﨑邦彦氏が、「入倉・三宅式による基準地震動は過小評価であると証言したことを無視し、過小評価の基準地震動のままで許可したこと、大飯原発近くにある活断層で地震が起これば福島原発事故が再現され数時間で大阪・神戸にも到達し、琵琶湖にも降り注げば関西一円の飲料水が汚染されること避難計画は自然災害との複合災害は想定せず、要援護者の具体的な避難方法も決まっていないことなどを指摘し、変更の許可に抗議しています。
 
 再稼働審査合格のNHKニュースも併せて紹介します。
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大飯原発3・4号炉の設置変更許可に抗議する!
原子力規制を監視する市民の会 2017年5月24日 
本日5月24日の原子力規制委員会会合において、関電大飯原発3・4号炉の設置変更申請の許可が出され、再稼働に向けた手続きが進みました。これに抗議し、市民14団体共同で抗議文を発出しましたのでお知らせします。
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2017年5月24日
  (抗議声明
大飯原発3・4号機の審査書確定・設置変更許可に強く抗議する
 
 原子力規制委員会は、本日(5月24日)、大飯原発3・4号機の「審査書」を確定し、設置変更を許可した。私たちは、これに強く抗議する。
 
 大飯原発3・4号では、とりわけ昨年来基準地震動の過小評価が大きな問題となってきた。前原子力規制委員会委員長代理で地震動評価の責任者であった島﨑邦彦氏が、「入倉・三宅式による基準地震動は過小評価であり、許可すべきではない」と4月24日に名古屋高裁金沢支部で行われた裁判で証言している。規制委員会はこの提言を全く無視して、過小評価の基準地震動のままで許可した。
 
 大飯原発が再稼働し、近くにある活断層で地震が起これば、福島原発事故が再現されることになる。そうなれば、大量の放射能が大気中に放出され、周辺住民を襲うばかりか、数時間で大阪・神戸にも到達する。琵琶湖にも降り注ぎ関西一円の飲料水が汚染されることになる。風下の中部地域にも被害が及ぶ。
 しかし、避難計画にいたっては、30km圏内で安定ヨウ素剤の事前配布もなく、自然災害との複合災害は想定せず、要援護者の避難にいたっては具体的な避難方法さえ決まっていない。広範な住民が「自己責任」で逃げまどわなければならなくなる。そうなってもだれも責任をとらないことは、福島原発事故が如実に示している。
 
 事故時に被害を被る福井や京都府北部等の住民・自治体の声はまったく無視されている。関電が高浜原発で引き起こしたクレーン倒壊事故については、高浜のみならず、大飯、美浜サイトでも「総点検」を実施するよう地元から求められたが、関電の対策は「暴風警報について気象協会からFAXを受け取る」等あきれる内容だ。そのため、京都府と京都府北部自治体はクレーン問題はいまだ解決していないと表明している。規制委員会は、クレーン倒壊事故を審査することもなく、30km圏内自治体に説明することもなく、原発の再稼働を後押ししている。無責任にも程がある。
 
 関西電力は秋から冬にも大飯原発3・4号の再稼働を狙っている。これに対して、福井、関西、全国の運動は連携し、各地で闘われている裁判闘争とも連携を深め、再稼働を止めていこう。
2017年5月24日 
  [14団体]  
 (14団体名は下記のとおり)
原発設置反対小浜市民の会/ ふるさとを守る高浜・おおいの会/ 原発なしで暮らしたい宮津の会/ グリーン・アクション/ 防災を考える京田辺市民の会/ 避難計画を案ずる関西連絡会/ 美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/ 脱原発へ!関電株主行動の会/ 脱原発わかやま/ おおい原発止めよう裁判の会/ 核のごみキャンペーン・中部/ 玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/ 国際環境NGO FoE Japan/ 原子力規制を監視する市民の会
 
 
福井・大飯原発3・4号機 再稼働に向けた審査に合格
NHK NEWS WEB 2017年5月24日
福井県にある大飯原子力発電所3号機と4号機について、原子力規制委員会は、再稼働の前提になる新しい規制基準の審査に合格したことを示す審査書を正式に決定しました。全国の原発で6か所目で、今後も地元の同意などが必要で、関西電力が目指す再稼働は早くてことしの冬以降になると見られます。
大飯原発3号機と4号機で、関西電力が進めている安全対策について原子力規制委員会は、新しい規制基準の審査に事実上合格したことを示す審査書の案をことし2月に取りまとめ、その後、一般から意見を募集していました。
24日の会合で規制委員会は、寄せられた意見をもとに表現を一部修正した審査書を正式に決定しました。審査書が決定されたのは、現在、運転中の鹿児島県にある川内原発などに続き6か所目です。
関西電力は、ことし7月までに安全対策の工事を終えることにしていますが、今後も、詳しい設備の設計の認可や地元の同意が必要で、関西電力が目指す再稼働は早くてことしの冬以降になると見られます。
 
大飯原発をめぐっては3年前、福井地方裁判所が出した再稼働を認めない判決に対し、関西電力が控訴して判決の効力が生じておらず、2審の裁判が続くなかで、地元、おおい町と福井県は同意するかどうかの判断を示すことになる可能性があります。
裁判では証人として出廷した規制委員会の元委員が「想定される最大規模の地震の揺れが過小評価されている」と指摘しましたが、関西電力は「詳細な調査で保守的に評価し過小とは考えられない」などとしています。
(中 略)
滋賀県知事「容認できない」
これについて滋賀県の三日月知事は「大飯原発で、原子力災害が発生した際、影響を受ける可能性のある滋賀県としては、再稼働を容認できる環境にない。実効性ある多重防護体制の構築は半ばで、使用済み核燃料の処理などが未整備のままであり、クレーンの倒壊事故などから県民の原発の安全性への不信感が根強い。国と関西電力は、国民、県民に不安が根強く残る現状を重く受け止め、万全の安全対策を行うとともに疑問や不安感の解消に向けしっかりと説明責任を果たしてほしい」というコメントを出しました。
(後 略)