2017年6月14日水曜日

原子力機構 被曝事故 (続報)

 6日に茨城県大洗町にある原子力機構の施設で作業員が被曝した事故で、治療にあたっている放射線医学総合研究所が12日、会見し、その後3~4回行った検査で、作業員5人からはいずれも肺からプルトニウムが検出されなかったものの、アメリシウム検出された人がいたということです。
 アメリシウムはプルトニウムがβ崩壊して発生する放射性物質ですが、検出された量や人数については明らかにしていません。(NHK)
 
 放射線医学総合研究所は、予定していた治療が終了し5人に容体の変化がないことなど総合的に判断し、13日、5人全員退院させました。今後研究所に通院して尿などに含まれる放射性物質の量の計測や健康状態のチェックを受けるということです。(NHK)
 
 作業員が被曝した事故は放射性物質が入った樹脂製の袋が破裂したために起きましたが、原子力機構は2月の時点で、袋の中ではガスが発生する可能性があることを把握していました。今回の事故でも放射線で分解する樹脂製の袋や容器に放射性物質が入っていた訳で、なぜ十分な対策を行わなかったのか調べることにしています。(NHK)
 
 以上3つの記事を紹介します。
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作業員被ばく事故 5人の肺からプルトニウム検出されず
NHK NEWS WEB 2017年6月12日
茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の施設で、作業員が被ばくした事故で、治療にあたっている放射線医学総合研究所が会見し、その後の検査で、作業員5人からはいずれも肺からプルトニウムが検出されなかったことを明らかにしました。原子力機構は事故当初の検査では、プルトニウムの値を過大に評価した可能性があるとしています。
今月6日、茨城県にある日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」の施設で、プルトニウムなどを含む放射性物質の粉末が飛び散った事故では、原子力機構が1人の肺からプルトニウム239が2万2000ベクレル計測されたと発表し、作業員5人を千葉市にある放射線医学総合研究所に搬送して治療を行っています。
 
放射線医学総合研究所は12日夜、記者会見し、作業員5人に対して3回から4回肺を検査した結果、いずれの人からもプルトニウムは検出されなかったことを明らかにしました。
その一方で、アメリシウムという別の放射性物質が検出された人がいたということです。アメリシウムはプルトニウムが核分裂したあとに発生した可能性があるとしていますが、検出された量や人数については明らかにしていません。
そのうえで、これまでのところ、5人に被ばくによる健康への影響は出ていないとしています。
 
プルトニウムが検出されなかったことについて、原子力機構は記者会見し、事故当初の検査では作業員の皮膚に残ったプルトニウムを検出したことで、過大に評価した可能性があると説明しました。
放射性物質を洗い流すのが結果として不十分だった可能性がありますが、原子力機構は医学的な措置を迅速に行うことを優先したとしています。
 
 
被ばく事故 作業員5人が退院
NHK NEWS WEB 2017年6月13日
茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の施設で作業員が被ばくした事故で、入院していた5人の作業員は、予定していた治療が終わったなどとして、13日に退院しました。
今月6日、茨城県にある日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」の施設で、プルトニウムなどを含む放射性物質の粉末が飛び散った事故では、作業員5人が千葉市にある放射線医学総合研究所で治療を受けてきました。
放射線医学総合研究所では、予定していた治療が終了し、5人に容体の変化がないことなど総合的に判断し、13日、5人全員が退院したことを明らかにしました。
この事故では、原子力機構が、1人の肺からプルトニウム239が2万2000ベクレル計測されたと当初、発表したものの、搬送された放射線医学総合研究所で行われたその後の検査では、作業員5人の肺からプルトニウムは検出されず、原子力機構は12日、プルトニウムの量を過大に評価した可能性があると説明していました。
5人の作業員は、今後、放射線医学総合研究所に通院して尿などに含まれる放射性物質の量の計測や健康状態のチェックを受けるということです。
 
 
被ばく事故 原子力機構はガス発生の危険性把握か
NHK NEWS WEB 2017年6月13日
茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構の施設で作業員が被ばくした事故は放射性物質が入った樹脂製の袋が破裂したために起きましたが、原子力機構はことし2月の時点で、袋の中ではガスが発生する可能性があることを把握していたことがわかり、原子力規制庁は対応に問題がなかったか調べることにしています。
 
今月6日、茨城県にある日本原子力研究開発機構「大洗研究開発センター」で起きた事故では金属製の容器の中の樹脂製の袋が破裂してプルトニウムなどを含む放射性物質の粉末が飛び散り、作業員が被ばくしました。
この事故について原子力機構は「想定外だった」としていますが、原子力規制庁によりますと、ことし2月の時点で茨城県東海村にある原子力機構の別の施設でも、放射性物質が入った樹脂製の袋が膨れているのが見つかっていたことがわかりました。このケースでは袋の中の物質が放射線で分解されてガスが発生したと見られていますが、今回の事故でも放射線で分解する樹脂製の袋や容器に放射性物質が入っていました。
原子力規制庁は原子力機構としてガスが発生する危険性があることを把握しながら十分な対策に結びつかなかった可能性もあると見て詳しく調べることにしています。