2017年7月11日火曜日

規制委員長「東電に主体性見えず」 福島第一廃炉に危機感

 原子力規制委は10日、東電新経営陣の会長・社長らを呼んで福島原発の廃炉や柏崎刈羽原発の再稼働についての東電の見解や社内の「安全文化」について聴取しました
 川村会長は「原子力は必要との国民の声もある。原発を動かすのも東電の責任だ」などと話しましたが、田中規制委員長は、「(福島原発の廃炉では)東電には主体性が見えず危うく見える。今回の聴取で十分な回答があったと思えない」として、福島の廃炉や柏崎刈羽の再稼働などについて文書で考え方を示して欲しいと求めました。
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規制委員長「東電に主体性見えず」 福島第一廃炉に危機感

東京新聞 2017年7月10日
 原子力規制委員会は十日の臨時会議で、東京電力の川村隆会長や小早川智明社長ら新経営陣を呼び、原発の廃炉や再稼働に関して聴取した。規制委の田中俊一委員長は、福島第一原発の廃炉で「東電には主体性が見えず危機感がある」と指摘。「主体性のない事業者に再稼働の資格はない」とも述べた。川村氏は「原子力は必要との国民の声もある。原発を動かすのも東電の責任だ」と話した。

 規制委が電力事業者のトップに、施設や設備の安全対策だけでなく、社内の「安全文化」について直接問いただすのは異例だ。東電が再稼働を目指す柏崎刈羽6、7号機(新潟県)の審査は終盤で、田中氏は合否の判断の前に、聴取が必要との考えを示していた。
 田中氏は臨時会議で「十分な回答があったと思えない。福島の廃炉や柏崎刈羽の再稼働などについて文書で考え方を示してほしい」と求めた
 小早川氏は「福島は経営判断の最優先課題」と話した。川村氏は、第一原発の敷地内で保管している汚染水について「タンクのスペースはあと二年分しかない」と明らかにした。
 田中氏は「事故を起こした東電は普通の事業者ではない」と指摘した。今後、6、7号機を現地視察する意向を表明している。

 東電は二基の再稼働を経営再建の柱とし、二〇一三年九月に審査を申請。重大事故時の対応拠点となる免震重要棟の耐震性不足を認識しながら約三年間報告していなかったことが審査会合で発覚した。東電は今年六月、安全対策を大幅に変更した申請書を再提出した。
 6、7号機や福島第一原発の原子炉は沸騰水型と呼ばれ、一基も審査合格していない。


規制委「東電の主体性見えず」
NHK 新潟 NEWS WEB 2017年7月10日
新潟県にある柏崎刈羽原子力発電所の再稼働や福島第一原発の廃炉を巡り、原子力規制委員会は、先月就任した東京電力の会長と社長から安全に対する姿勢を確認する異例の聞き取りを行い、福島第一原発の廃炉について「東京電力の主体性が見えず危機感がある」などと厳しく批判しました。

原子力規制委員会は、東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発の6号機と7号機の審査の中で、福島第一原発事故を起こした事業者としての安全に対する姿勢を確認する必要があるとして、先月就任した経営陣から直接聞き取りを行うという異例の対応を決めています。
10日の会合に出席した東京電力の川村隆会長と小早川智明社長は「福島の原発事故の責任を全うするのが原点で、最優先の課題」と述べました。
これに対して規制委員会は、▼福島第一原発でたまり続ける汚染水の処理や▼事故で溶け落ちた核燃料の取り出しといった様々な課題について「東京電力の主体性が見えず危機感がある」と述べ、東京電力が国に判断をゆだねていると厳しく批判しました。
これを受けて川村会長らは、汚染水への対応について「2年後に敷地内のタンクがいっぱいになるので、その時まで待たずに結論を出したい」と述べましたが、具体的な方針は示せませんでした。

このため規制委員会の田中俊一委員長は「きちんとした対応が聞けたとは理解していない」と述べ、あらためて文書で廃炉の対応方針を示すよう求めました

柏崎刈羽原子力発電所を巡っては原子力規制委員会の田中俊一委員長が、事故が起きた時の対応などを直接確認するため、みずから現地調査を行う考えを示していて、審査が終わるまでには、なお時間がかかるとみられます。
一方、新潟県の米山知事は、仮に規制委員会の審査を通過しても、福島第一原発事故の検証なしには柏崎刈羽原発の再稼働は認められないと繰り返し発言しており、検証には3年から4年かかるという見通しを示しています。
しかも、県独自の検証に向けた組織作りは当初の予定より遅れているのが現状です。

県は、すでに設置している「技術委員会」で福島第一原発の事故原因の調査を進めていますが、米山知事は、このほかに原発事故が健康に与える影響を検証する「健康委員会」と避難計画の実効性などを検証する「避難委員会」を当初は、ことし6月をメドに立ち上げるとしていました
しかし、委員の選定に時間がかかっており、委員会の設置時期は未定となっています。
米山知事は、現在開会中の県議会で「委員会は予定していた6月から少々ずれ込む状況になるが、まもなく設置する予定で、決まり次第公表する。基本的にスケジュールへの影響はないと考えている」と述べ、検証にかかる期間への影響はないとしています。
東京電力は首脳人事を刷新し、新体制でできるだけ早い時期の再稼働を目指していますが、規制委員会、新潟県ともに再稼働の是非を判断するまでには時間がかかりそうです。