2017年7月2日日曜日

津波可能性の認識が今後の焦点 東電旧経営陣裁判

 30日に東京地裁で開かれた初公判で、検察官役の指定弁護士は東京電力が事故の3年前に、福島原発が津波で浸水する可能性があるという想定を内部でまとめていたとし、海側の敷地に高さ10mの防潮堤を建設するという予想図の存在を示し、社内で具体的な対策が計画されたのに先送りされたと主張しました。
 それに対して旧経営陣は、想定が妥当かどうか専門の学会に検討を依頼していたなどとして、先送りを否定し、無罪を主張しました。
 今後は旧経営陣が津波の可能性をどこまで認識できたかが焦点となるということです。

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津波可能性の認識が今後の焦点に 原発事故裁判
NHK NEWS WEB 2017年7月1日
原発事故をめぐって業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴された東京電力の旧経営陣3人の初公判が6月30日に開かれ、3人は無罪を主張しました。一方、検察官役の指定弁護士は事故の3年前に社内で作られたという防潮堤の予想図の存在を新たに指摘し、津波の可能性について3人がどこまで認識できたかが今後の焦点となります。
東京電力の元会長の勝俣恒久被告(77)、元副社長の武黒一郎被告(71)、元副社長の武藤栄被告(67)の3人は、原発事故で福島県の入院患者など44人を避難の過程で死亡させたなどとして、業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴されました。

30日に東京地方裁判所で開かれた初公判で、検察官役の指定弁護士は東京電力が事故の3年前に、原発が津波で浸水する可能性があるという想定を内部でまとめていたと主張しました。
さらに、原発の海側の敷地に高さ10メートルの防潮堤を建設するという予想図の存在を新たに指摘し、社内で具体的な対策が計画されたのに先送りされたと主張しました。
これに対して3人は、想定が妥当かどうか専門の学会に検討を依頼していたなどとして、先送りを否定し、無罪を主張しました。
審理は長期化するものと見られ、今後は3人が津波の可能性をどこまで認識できたかが焦点となります。

津波対策めぐるやり取り 一部明らかに
30日に行われた初公判では、東京電力の社内で津波対策をめぐって交わされたメールなどの具体的なやり取りの一部が明らかにされました。
法廷では検察官役の指定弁護士が提出した、東京電力社内のメールや会議の議事録など200点余りが証拠として採用され、その概要が説明されました。
それによりますと、原発が津波で浸水する可能性があるという想定がまとまる2か月前の平成20年1月23日に、津波対策を担う土木調査グループの担当者が同僚に送ったメールでは、想定される最大の津波の評価をやり直した場合、「NGであることがほぼ確実な状況」だとして、「原発の津波対策を開始する必要がある」という記載があったということです。
また、同じ担当者の2月4日のメールでは、津波が想定を超えた場合の対策について、「早期に状況確認する必要があるのではないか」という記載があったとしています。
津波対策が必要だという認識が東京電力の中でどこまで広がっていたのかは、3人に刑事責任があったかどうかを判断するうえで1つの焦点になりそうです。