2017年9月1日金曜日

廃炉等支援機構が気中での燃料デブリ取り出しを提言

 廃炉等支援機構31日、福島原発の「燃料デブリ」をどう取り出すかについて、周囲を満水にして放射線を遮る方法は技術的に難しいとして、水で満たさない「気中工法」と呼ばれる方法を重点的に検討するよう正式に提言しました。
 気中では放射能レベルが極度に高くて人間は近づけないので、ロボットによって格納容器の底のデブリは横から取り出し、原子炉の底に残っているデブリについては上から取り出すというもので、さまざまな工法の組み合わせを前提にしているということです。
 いずれにしても取り出したデブリを気中で野積みにするというわけには行かないので、デブリの取出しからそれをデブリ用容器に収納するなり、デブリ用プールに入れるまでは完全に無人で行う必要があります。
 気中におけるロボットの耐用時間の問題を含めて、取出しから収納までの一連の工程において実効性のある立案が本当にできるのかどうか注目されます。
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福島第一原発の燃料デブリ “満水” 以外の方法で取り出し提言
NHK NEWS WEB 2017年8月31日
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた最大の難関である「燃料デブリ」をどう取り出すかについて、国の専門機関は周囲を水で満たして放射線を遮る方法は技術的に難しいとして、水で満たさない方法で行うことを重点的に検討すべきだと正式に提言しました。
福島第一原発の1号機から3号機では事故で溶け落ちた核燃料が原子炉の底を突き破り、その外側を覆う格納容器の底に達していると見られていて、核燃料が構造物と混じり合って強い放射線を出す「燃料デブリ」を取り出すことが廃炉に向けた最大の難関とされています。

これについて廃炉に向けた技術的な方針を検討している原子力損害賠償・廃炉等支援機構は、これまで検討されていた周囲を完全に水で満たして放射線を遮る方法は事故で損傷した格納容器の修理が難しいことなどから、水で満たさずに取り出す「気中工法」と呼ばれる方法を重点的に検討するよう31日、正式に提言しました。
そのうえで格納容器の底のデブリは横から取り出す一方で、原子炉の底に残っているデブリについては上から取り出す必要があり、将来的にはさまざまな工法の組み合わせを前提に柔軟に対応する必要があるとしています。

原子力損害賠償・廃炉等支援機構の山名元理事長は「廃炉の工程表どおり2021年に始められるよう技術開発を進めていて、今のところその時期を崩す理由はない」と話しています。
国と東京電力は今回の提言を踏まえ、来月にも廃炉の工程表を見直し、1号機から3号機のそれぞれの取り出しかたの方針を公表することにしていますが、放射性物質の飛散防止など安全対策をどのように進めるかが課題になります。