2017年10月1日日曜日

福島原発 水位計設定ミス詳報

 福島原発に4月以降に設置した6本の地下水位計の設定に約70㎝の誤差があったのは、従来の水位計が東京湾の平均海面水位を基準にしたのに、新設分は70㎝低い小名浜港の海面水位を基準にしたためと分かりました。
 地下水位等を扱う場合にはどこの海水面を基準にするのかは基本中の基本事項なので、言い訳のできないミスです。

 水位を補正したのちに期間中の建屋内外の水位差を再チェックした結果、建屋内水位が高かったことが8回あったことが確認されました(最大19㎝)
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汚染水漏えい恐れ8回 「水位計設定ミス」5月17~21日に
福島民報 2017年9月30日
 東京電力は29日、福島第一原発1~4号機周辺にある地下水くみ上げ用井戸(サブドレン)の水位計の設定に誤りがあった問題で、1本の井戸の水位が付近の建屋地下にある高濃度汚染水の水位より低くなる「水位逆転」が5月に少なくとも8回起きていたと発表した。建屋地下の汚染水が建屋外に漏れた可能性があるとしている。井戸の水位管理は汚染水漏えい防止の基本的対策で、県や県議会は東電に管理徹底や再発防止を求めた。

 福島第一原発構内のサブドレンの配置は【図(添付省略)】の通り。28日に水位計の設定ミスが発覚したのは4月中旬~8月上旬に順次運用を始めた6本で、このうちの1本で5月17日~21日に水位逆転が起きた。汚染水位よりも地下水位が最大約19ミリ低い状態だった。

 震災後の地下水の水位は東京湾の平均海面水位を基準に設定している。ミスが発覚した6本の井戸は、誤って東京湾より約70センチ低い小名浜港の海面水位が用いられていた。
 25日に新たな井戸を削るため、付近の図面を調べていた計器担当部門の社員が水位データの不自然さに気づき、調査を開始。28日に水位計の施工会社に確認し、ミスが分かった。各井戸の運用開始から28日までの記録を1時間刻みで再確認し、水位逆転を8回把握した。

 建屋周辺の井戸の水位は建屋内の汚染水より約1メートル高く保ち、汚染水が外部に漏れないようにしている。逆転が起きた井戸の実際の水位は水位計の値より約70センチ低いため、降雨などの影響で地下水位と逆転しやすい状況だったとみられる。稼働中の井戸は構内に42本あるが、6本以外に問題はなかった。
 高濃度汚染水は事故で炉心溶融した核燃料の冷却で生じ、建屋地下にたまっている。溶融燃料に触れるなどしており、放射性物質濃度はおおむね1リットル当たり1000万ベクレルと井戸でくみ上げた地下水の1万倍程度に当たる。
 東電は地下水の放射性物質濃度に大きな変動はないとした上で漏えいの可能性は否定できないとしている。周辺の他の井戸も含めた地下水の放射性物質濃度などを測定し、漏えいの有無を調べるとともに再発防止策を検討する。

 東電は28日、水位計の設定ミスが運転上のルール逸脱に当たるとして原子力規制庁に通報。6本の井戸の運用を一時停止した。29日に安全が確認されたとして清掃中の1本を除き再開した。
 東電は福島市で同日開かれた廃炉・汚染水対策福島評議会で水位逆転の経緯を説明。増田尚宏福島第一廃炉推進カンパニー最高責任者が「心配をお掛けして申し訳ない」と謝罪し、管理上の問題を洗い出し、再発防止に努める考えを示した。

■県議会再発防止要求
 県議会の杉山純一議長、満山喜一副議長は同日、東電福島復興本社復興推進室の佐藤英俊副室長を県庁に呼び、水位逆転の再発防止と迅速な情報公開を申し入れた。共産党県議団も汚染水対策の体制強化、水位逆転の原因究明などを求めた。