2018年2月11日日曜日

柏崎刈羽原発のエアーベントフィルターが地震時液状化で損傷の恐れ

 柏崎刈羽原発6、7号機の重大事故時の排気設備「フィルター付きベント」が、地震で液状化が起きた場合にその影響で基礎を支えるくいが曲がるなど損傷する恐れがあることが9日、分かりました。
 ベント設備の他にも非常用の電源車を設置する予定地など、複数の設備が液状化の影響を受ける恐れがあることが明らかになりました。
 この問題でも東電はこれまで新潟県や地元などに説明していませんでした。東電の隠蔽体質は変わっていません。

 本来エアーベントフィルターの除去性能は「1/1万」が欧州での常識(米では実績なし)でしたが、2013年時点の住民説明会では突然「1/1千」になりました。
 それが実際に設置されたフィルターの除去性能は「1/1百」でした。なんと欧州の基準の百分の1の性能というチャチなものが設置されたわけです。

 東電は「ある程度余裕を持った設計をしている・・・云々」と述べていますが、設計の余裕だけでは装置の傾きには対応できません(それなりのフレキシビリティ=柔軟性を持つ構造にする必要がある)。まず前後の接続配管が破損するので、除去性能はゼロになります。装置の傾きに対する性能の低下も構造に即した詳しい説明がなければなりません。
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地震で液状化の場合 原発損傷の恐れ
柏崎刈羽 東電、地元に説明せず
新潟日報 2018年2月10日
 東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の重大事故時の排気設備「フィルター付きベント」が、地震で液状化が起きた場合にその影響で基礎を支えるくいが曲がるなど損傷する恐れがあることが9日、分かった。安全対策の重要設備の問題にも関わらず、東電は県や地元などに説明していなかった。こうした東電の姿勢にあらためて批判が集まりそうだ。
 東電は地盤改良などの対策工事を計画しているが、「設計が難航し、終了時期は見通せない」としている。
 7日には地元住民が同原発の安全性について議論する「原発の透明性を確保する地域の会」が柏崎市で開かれ、地元自治体の首長や地域住民らが参加したが、東電は重要設備に液状化への対策が必要になったことに触れなかった。8日の所長会見でも詳しい説明はなかった。

 ベント設備は、原発の重大事故時に原子炉格納容器が壊れるのを防ぐ排気設備で、6、7号機の原子炉建屋外にそれぞれ設置されている。東電によると、複数のくいを固い岩盤に打ち込んで基礎部分を支えている。しかし、液状化が起きれば設計上想定していた以上の力がかかることが、東電の解析で判明した。
 東電は最悪の場合、くいが変形し「ベント設備に影響を及ぼす可能性がある」としながらも、「ある程度余裕を持った設計をしている。機能を喪失するかは詳細に評価していないので分からない」と説明した。

 ベント設備の他にも非常用の電源車を設置する予定地など、複数の設備が液状化の影響を受ける恐れがあることが新たに判明した。今後、同様の影響を受ける設備が他にないかを調べる方針だ。
 柏崎刈羽原発6、7号機は、昨年12月に原子力規制委員会による審査に「合格」した。東電は「個々の設備については(設備の詳細設計をまとめた)工事計画の認可を受ける際に確認してもらう」としている。

 東電は規制委の審査で、1~4号機側の防潮堤が液状化によって傾く恐れがあると指摘を受けていた。ほかの設備でも液状化の影響がないか調べていた。


柏崎刈羽で原発住民説明会 フィルター付きベントに不安相次ぐ
新潟日報 2013年8月28日
 東京電力が原発の新規制基準に基づく安全審査申請を目指している柏崎刈羽原発6、7号機について、東電が立地地域で開いた住民説明会が27日、2日間の日程を終えた。過酷事故時に放射性物質を含んだ格納容器内の蒸気を放出するフィルター付きベントについて、住民からは「性能は十分なのか」などと不安視する声が相次いだ。
 フィルター付きベントは新基準で設置を義務付けられ、申請の前提となる設備だが、住民の不安は根強いことが浮き彫りになった形だ。

 26日の柏崎市、27日に刈羽村で開かれた説明会には合わせて約200人が参加。東電は、フィルター付きベントの役割を炉心損傷の防止と敷地外の土壌汚染を減らすためと解説。粒子状の放射性セシウムは99・9%以上除去できるが、放射性希ガスは除去できないことから「一時的な待避が必要」と述べた。
 刈羽村の住民から「希ガスが取れないのに安全なのか」との声が上ったのに対し、川村慎一・原子力設備管理部長は「(蒸気を)放出する際に近くにいると危険で、決して安全とは言えない」とし、住民避難のため自治体と情報共有を進める考えを示した。
 住民からは「避難計画を自治体任せにしていいのか」「高齢者もいるのに本当に逃げられるのか」との意見が出た。
 こうした声が上がっていることについて、原子力規制庁の地元事務所の内藤浩行所長は27日の記者懇談会で、フィルター付きベントの運用に際し「防災計画や住民避難は自治体が中心になって考える問題なので、設備について東電はしっかり説明してほしい」と注文した。