2018年4月18日水曜日

東電強制起訴 津波「切迫性ない」と考えた 東電担当社員

 東京電力福島第1原発事故を巡り、強制起訴された東電旧経営陣3人の第7回公判17)で、事故前に想定津波の試算を担当していた東電社員が、国の調査機関が2002年に「巨大津波が発生しうる」とした「長期評価」について、「原子炉を停止するほどの切迫性はないと考えていた」と証言しました。
 
 毎日新聞と高知新聞の記事を紹介しますが、かなりニュアンスの異なる報じ方をしています。
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 福島第1原発事故 東電強制起訴
津波「切迫性ない」 担当社員認識 第7回公判
毎日新聞 2018年4月18日
 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第7回公判が17日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。事故前に想定津波の試算を担当していた東電の男性社員が第5、6回公判に続いて出廷し、国の調査機関が2002年に「福島沖を含む日本海溝沿いで巨大津波が発生しうる」とした「長期評価」について「原子炉を停止するほどの切迫性はないと考えていた」と証言した。 
 
 勝俣恒久元会長(78)ら3被告は昨年6月の初公判で「巨大津波は予見できなかった」などと無罪主張している。男性社員も「(東日本大震災より前に)福島沖でいつ(大きな)地震が起きたかは分かっておらず、平均的な発生間隔も(福島沖に限らず広域で)400年に3回という情報以上のものはなかった」と話し、原子炉の停止は考えられなかったとの認識を示した。 
 
 また、11年に襲来した津波は敷地の東側から浸水したが、東電子会社が08年に高さ15・7メートルの津波を試算した際は「南側から」の想定だったと説明。東側からの津波に備えた防潮堤の設置は検討されていなかったとした。
 さらに、子会社の試算モデルとなった明治三陸地震(1896年に岩手沖で発生)と比較し、東日本大震災は「規模や津波の高さが違っていた」とも証言。試算に基づいて防潮堤などの対策を講じたとしても「浸水は防げなかった」と話した。 
 公判後、福島原発告訴団は東京都内で記者会見。既に決まっていた6月15日までの今後10回の公判期日に加え、新たに7月27日まで6回の公判期日が地裁から通知されたと明らかにした。【石山絵歩、岡田英】
 
 
事故前に原発停止の恐れ認識 津波試算の東電社員が公判で証言
高知新聞 2018年4月17日
 福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の旧経営陣3人の公判は、17日午後も東京地裁(永渕健一裁判長)で続き、事故前に津波の試算を担当した東電社員が「津波の対策工事が完了しなければ、原発の運転を継続できなくなる恐れがあると考えていた」と証言した。検察官役の指定弁護士による尋問に答えた。
 
 証言によると、この社員は2008年6月、最大15・7メートルの津波が原発の敷地を襲うとの試算を、被告の武藤栄元副社長(67)に報告。武藤元副社長は同年7月、試算の根拠の妥当性を検討するよう土木学会に委託することにし、対策は見送られた。